山下会長 今月のつぶやき  BUCK NUMBER

第19期のあいさつ
(2006/7/6)

 信州の快適な住まいを考える会(SAH会)第19期目の総会が今年6月9日に開催されて、今期の活動方針等が承認されました。
県内では一番長い研究会とのことです。改めて研究会の活性化を決意しているところです。

 さて、会員の信越BIBほかとの共同研究によって、昨年10月に工学部キャンパス内に建設された無暖房実験住宅は冬季間、無暖房で過ごすことが出来ました。
 また、学生諸君、私、さらに信越BIB社員の方が実際に泊まってみて、快適性、身体の温冷感についても満足のいく結果が得られました。9/7から9/9に神奈川県の神奈川大学で日本建築学会大会があります。私どもは冬季間の結果を口頭発表5編にして投稿(今年4月末)しており、9/7に発表することになっています。測定は現在も続けており、夏季まで測定して大会までに梅雨、夏季の資料も用意していくつもりであります。これまでの梅雨の時期では、室内(8畳)が小さい上に人体模型2体と小型TV、照明の擬似生活として発熱させているせいか、部屋の容積に対して熱負荷が大きいため、窓を閉め切ると31度前後に上昇安定する結果になります。これでは困りますので、生活の工夫することを目的に、夕方窓を少し開いて、朝9時に窓を閉めて、その後は27度設定でエアコンを使って計測しています。結果は一日中27度前後を保っています。消費電力が次世代省エネルギー基準に比べて小さいことを実証されることを期待しています。
 また7月はじめから同じく共同研究をしている会員のホクシンハウスが長野市内にモデルハウスを建て計測が始まっています。こちらは40坪程度の大きさのため、4人家族を想定した擬似家庭を再現している状態で、27度前後をエアコン無しで維持しています。これも夕方2Fの窓を少し開けて、朝方8時ころに窓を閉めている状態であります。
 ほかに共同研究としてSAH会員を含めて長野県内の軽井沢、駒ヶ根、塩尻などで計5棟が8月までに計測が始まるなど、信州発の無暖房、無冷房住宅を目指して検証することになっています。わたしは今こそ、この研究会の発足の精神に戻って、会員が建設した住宅を実測して、しっかりしたデータを出すことが改めて重要であると思うようになっています。結果を学会に発表することにより、研究会の価値も上がり、会員の皆様もその成果を持って営業することは大きな意味があるはずです。ただ、学会は商業目的の発表はできないことになっています。しかし、どこが対象かはわかります。今期は、大いにデータを収集するように皆さん少し意識されたらいかがでしょうか。データ収集の規模は、いくつかありますから、ぜひ私に相談してみてください。
 長々と計測の経過を書きました。次に総会で承認を得ました今期のSAH会活動の方針を述べます。

 第一にSAH会を一般に知らしめる活動です。4回の例会は、2部構成にして、一部は一般向けのセミナー、2部は会員相互の研究会にしたいと考えております。一部は、信大の建築教員によるSAH会にふさわしいテーマで講演してもらい、続いて私がこれまでSAH会で得られた成果をわかりやすく短くまとめことと、岩井氏の都市気象に関するトピックスなどを紹介したいと考えております。2部は会員の持っている技術紹介を私、岩井氏がインタビユー形式でまとめる方式で進めたいと考えております。このためには事前に会員と私どもとの打ち合わせをして筋書きを決めてパネルディスカッション形式で進めるつもりです。

 第二は、TheSAHの復刊です。最低4回の発刊を予定しております。1部は私の学会、ならびに学会研究面からのトピックスの紹介、岩井君の気象、環境についてのオリジナルな話をシリーズで纏める。第2部は例会で発表した会員のインタビュー形式の内容を纏める。ほか複数会員の建築コンセプト、工法技術を同じ形式で纏めます。3部は音熱の基礎講座、4部はその他と考えております。そしてこのTheSAHの配布は会員だけではなく、関係分野に少し広めて配布すること考えております。

 第三に山下研究室への研究費の使い道です。今、いろいろ考えておりますが、まずこれまでSAH会に関連する研究発表した論文のわかりやすい解説を纏めること。音熱の基礎理論、応用のわかりやすい資料提供です。

 第四は、8月のPS盛岡研修所のセミナーツアーの参加、10月20日から22日の4合同研究会の参加