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【長野会場】 信州大学工学部 CRC 3階研修室 長野市若里4-17-1 |
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○講演『木造建築の耐震性能』 / 五十田 博 先生(信州大学)
耐震補強のコンペが実施され、「バリエーションの広さ」や「工法の普及可能性が高いこと」などに重点をおき審査が行われた。バリエーションの広さとは、“どんな建物にも適応できる工法”のことである。現在の段階では、“この建物にはこの工法”といった要求条件に見合った工法はあるものの、“どんな建物にも適応できる工法”はまだ開発されていない。この他にも、建物内で生活しながら耐震工事ができる「居ながら補強」といったものや、オイルダンパー・高減衰ゴムといった新材料を用いた効率的な壁補強なども注目されている。 耐震補強がなかなか進まない理由は、耐震工事に対する意識の低さにある。100万円以下であれば耐震工事をしてもいいと答えた人でも、「200万円あったら何をしますか?」といった質問には「貯金」や「旅行」と答える。もっと耐震工事に関して意識を高めていく必要がある。 地震に備えて新築の住宅を建てるとき、耐震構造・免震構造・制震構造といった工法がある。耐震構造では、ある程度の被害があっても倒壊には至らないことを目標とし、免震や制震構造には、家具の転倒を防いだり装置自身は損傷しても建物の構造体には被害すら与えないなど特殊な性能を持たせている。この3つの耐震・免震・制震について優劣をつけるのではなく、「これくらいのコストで、このくらいの性能が欲しい」といった、施主の要求性能に主眼をおいた選択が必要だと考えている。ただし、コストや性能といった視点から見る場合は、その着眼点によった優劣はある(ex:耐震構造は免震構造よりもコストが安いなど)。 耐震補強は社会的に急務なもので、新築の建物においても耐震補強する建物においても、余裕を持った設計を行うことが重要だ。基準法は後追いで、何かの被害があってからその基準を決めていることを理解しておく必要がある。 ○講演『長野県内で無暖房・省エネルギー住宅は達成できるか? Part2』 / 山下 恭弘 先生(信州大学) 次世代省エネルギー基準と指針に掲載されているモデル住宅をもとに、長野県の各地域(長野、軽井沢、松本、諏訪、飯島、飯田)についてシミュレーション計算を行った。このモデル住宅は、木造枠組工法の2階建、延床面積約120uの住宅である。 シミュレーション計算は、T地区の断熱材140mm(グラスウール)を100%として、断熱材の厚さのみを200%、300%、400%と変化させた場合について検討を行った。また、機械換気についてシミュレーションで入力するのは熱交換効率で、この値も変化させた。シミュレーション計算においては、熱交換効率を40%前後にすると、実測値と計算値が良く対応する傾向が見られた。顕熱交換効率がよければQ値は小さくなり、暖房負荷が減るといったことが分かった。一方、年間冷暖房負荷と断熱材厚さに注目すると、断熱材厚さが基準住宅の200%を超えると冷暖房負荷の減少がゆるやかになることが分かった。このように断熱性能を高めることによって、年間の冷暖房負荷を次世代省エネルギー基準の1/8以下に収めることが示された。 極端に断熱性能を高め、排熱換気を行うことによって夏季の冷房負荷が増加しないことを実証した。今後の検討項目は、世帯数・人口で80%近くを占めるV・W地区のエネルギー削減が、民生エネルギー削減に大きく寄与するのかどうかといったことである。 ○解説『次世代省エネルギー基準に沿ったQ値計算』 / 日合(山下研究室) 次世代省エネルギー基準に沿ったQ値計算について解説がありました。計算したい建物の層構成を、壁や床などの部位ごとに入力していくことで、Q値と日射取得係数が計算できるエクセルシートでした。 以上 報告 事務局 寺沢
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