山下会長 今月のつぶやき  BUCK NUMBER

信州から住宅革命を!
(2005/1/28)

 あけましておめでとうございます。2005年の年頭に当たりましてご挨拶をいたします。昨年は、いろいろのことがありました。災害の当たり年でした。台風直撃が多数あり、続いて10月の中越地震、そして12月26日のスマトラ沖地震、インドネシア、タイ、インドほか周辺の沿岸への大津波による甚大な被害がもたらされました。特に津波の被害には世界各国からの援助支援があり、結局国連が中心となって行うことになりまいた。これが世界一体になるきっかけになればと願うところですが、なかなか思惑が絡んで難航している面もあるようです。
 これまでSAH会会長の「つぶやき」として、私の考えていること、思っていることをSAH会の広報誌に掲載してきました。それも不定期で特に内容があるものではありませんでした。今年はもう少し充実させたいと心新たに思うところです。
 昨年、5月にドイツ、スイスへ湿式外断熱工法について視察してきました。その内容については報告したところですが、非常に考えさせられることがたくさんありました。それは日本が今やっと国として方向転換と位置づけている建物の保存、再生、コンバージョンなどは、ドイツでは戦後からずっと継続してやってきている現実です。さらに建物の断熱性能を常に向上させる政策が導入されてきたことです。日本では、戦後の荒廃から立ち上がり高度経済成長中に起きたオイルショックによって、まず産業、運輸の省エネルギー政策の誘導が優先され、民生の住宅については施工者、施工主の任意な基準値で示す方式で、金融公庫などからの融資による誘導政策が続いてきました。それが豊かな生活が享受できるようになってきた結果、日本の民生エネルギー消費は、バブル崩壊中も増え続けてきており、いまや産業、運輸、民生の比率が同じになりつつあります。すなわち、建物の断熱性能がいまだ低い水準であるなかで、このままでは日本は、京都議定書を遵守されにくい状況になっているのです。11月末には、ミツヤジーホーム安江社長が提唱する地下室工法の会員、安江社長とともにドイツ、スイスの地下室の施工技術、及び地下室をRCパネルで組み立てるプレハブ工場を中心に地下室の現状を見てきました。当然ことながらドイツの地下室設置の普及率は日本にはるかに比べて高いのです。スイスは永世中立国になって、これまで延々と地下室の設置を公共建物、戸建住宅にも義務付けてきた経緯があります。現段階の商業都市ジュネーブでは、市民が避難する施設の数がほぼ満たす状況になり、戸建住宅で地下室を設置しない場合は税金を支払って地下室設置が免除されるとのことで、国是として実行してきた結果と改めて感心しました。それに対して日本の住宅政策の一貫性が如何にかけていたが思い知ることになりました。

 SAH会は第17期の活動を続けております。17期の主なテーマは「信州の快適な住まいの在り方」として、講演を依頼してきました。そして、会員同士の活動の紹介と、ゼロ・エネルギー住宅のワークショップを続けて、17期のまとめに向けてきているところです。必ずしも会員が一丸となって活動しているわけではありませんが、会員の中にゼロ・エネルギー住宅の実現させたい、取り組む機運が生まれつつあります。今年は、信州発の新しい試みを会員同士で共有できる技術として開発し、どこかにまとまった土地を確保して、景観、建物の外観を統一し、環境、超省エネルギーな住宅団地を造りたいものだと思っていますが、いかがでしょうか。「信州から住宅革命を!」の願いをもって年頭の挨拶といたします。皆さん今年も張り切ってやりましょう。

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