山下会長 今月のつぶやき  BUCK NUMBER

第19期の活動中間報告
(2006/11/7)

  会員の皆様にはご活躍のことと思います。私ども大学人は、8月、9月の時期は例年通り、建築学会大会(神奈川大)、音響学会大会(金沢大)、騒音制御工学会大会(愛知工業大学)、そして私が初めて信大工学部での空気調和・衛生工学会に参加しました。建築学会で信大キャンパス内の実験住宅について5編にまとめ、冬季は無暖房住宅であることを発表しました。当然、夏季はどうなんだとの質問が出ますので、夏季の計測dataを解析して十分に準備して発表に臨みました。結果として断熱材を極端に厚くして断熱性、気密性を高めると日中は窓を閉めて、遮光をして暑くなった場合はエアコンを稼動させて、日没から朝までの夜間の冷気をうまく取り込むと、最小のエアコン消費量で済むことがわかりました。少なくとも断熱性能を高めると夏の冷房負荷が増えてしまって、年間の冷暖房負荷は次世代省エネルギー基準に比べて増大して、意味が無いと言った妄信(?)に対して、そんなことは無いと言うことを証明しました。一連の学会の準備・発表を終わったところで“さて次は”の段階です。

  なお、この実験住宅についての結果について、8/31にプレスリリースの原稿にして、大学の事務を通して各報道機関に配布しました。昨年暮れの安易なインタビュを受けて、誤解が誤解を生んで私の本位が伝わらなかったことの反省からです。今後は、リリース原稿をまず作成して、それに基づいて説明することにしたいと考えております。9/28には、本会員の長野市のホクシンハウス、会員ではありませんが軽井沢町の佐々木工務店が無暖房住宅に挑戦しているモデルハウスについて、山下研究室が計測解析評価する共同研究として夏季の結果の速報をリリース原稿にまとめて大学事務から報道機関に配布をしてもらいました。実際、実験住宅(実質11u)に比べて10倍以上の延べ面積で、4人家族が住む状態の発熱・廃熱の状態を設定した中のエアコン消費は驚異的に少ない結果となりました。引き続き計測を行っていきますので冬季の無暖房になるかどうかが今後注目されるところです。

  「Living信州」では、山下研究室での無暖房実験住宅の取り組みを巻頭に取り上げられました。近く発売になるはずです。SAH会員の新建新聞の岸記者も熱心に取材してくれています。

  さて、肝心のSAH会活動ですが、おろそかにしているわけではなく、6/9の総会、8/26、27の盛岡PS研究施設の視察と有意義な意見交換、9/21には、今期第1回の役員会、例会が信大CRC(地域共同研究センター)でありました。役員会では岡谷市のSITEの入会が承認されました。例会では私が実験住宅の計測、解析結果の速報報告、岩井氏が異常気象ついて話をしました。続いて新会員紹介で、青沼建設の青沼邦信社長が自然共生を目指す家作り、エナーテックの松葉建治氏が基礎コンクリート深夜電力蓄熱暖房、タンク式床暖房、パネル輻射暖房の実施例について説明がありました。信毎、長野情報、新建新聞に開催を一般の方に参加を呼びかけたところ、4、5名の方が熱心に聴いていきました。

  10/20から3日間、北海道札幌で4合同研究会、ならびに北住圏の25周年記念があり、SAH会会員の参加が結構ありました。詳しくは事務局の日合が纏めましたのでご覧ください。11/28には第2回の例会がCRCであります。主なテーマとして信大の建築コースに設計事務所から助教授になった坂牛卓先生の“ユーザー、設計家、施工者のコラボレーション(建設的な話し合い、約束ごとの締結でしょうか)について話してもらうことになっています。坂牛氏の経歴、活躍等は後日お知らせしますが、大変刺激になるかと思いますので、ぜひ参加してください。それと皆さんとの会ですから参加を優先させるべきだと思うのですが・・・だって会費を払っているのですから、情報交換、刺激の場なのですから。

  今からでも遅くはありません。会員の活性化として無暖房住宅に挑戦してください。山下研究室が計測、解析して学会で発表し、プレスリリースをしていきます。私は、殆どの会員の皆さんは実現できる力を持っていると確信しています。空調調和・衛生工学会の発表の中に無暖房住宅が30%普及すると、民生エネルギー消費が50%削減されるとの報告がありました。北海道における無暖房住宅の普及より、U地区、V地区、そして以南の地区まで無暖房住宅が普及することは、世帯数の多さからも大切なことです。それを信州発で実現させて、普及に拍車をかけることになればすばらしいことと思いませんか。

  追伸になりますが、今期の総会での活動に工務店各社が主催するmini集会に協力するとしました。ふるって事務局に申し込みください。それから事務局補佐の日合から来年2月まで山下研究室M1の寺沢正道が代行することになりました。連絡先、携帯電話は同じです。よろしくお願いします。

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