山下会長 今月のつぶやき  BUCK NUMBER

14.今年は無暖房住宅についての信州から発信、アピールを!!
(2007/1/16)

  あけましておめでとうございます。SAH会会長の山下です。年頭にあたりご挨拶いたします。 昨年は、SAH会の会員の皆様におかれましてはご活躍された年であったと推察しています。 私としても、非常に充実した研究、興味のあることに全力を傾けた年であったと思っております。 今年は昨年にやり遂げたことをさらに継続して結果を出していく年と位置付けております。 その理由を昨年の活動、成果にあります。 簡単にまとめますと、第19期総会で承認された研究活動として、8月下旬には盛岡市郊外にあるピーエスの研究所を視察して、盛岡市を中心に独自で活動しているDotプロジェクトの内容と、その成果による住宅を視察して意見交換をしてきました。 9月は学会シーズンで、10月中旬には、持ち回りの4合同研究会が札幌で開催され、各研究会の活動の報告と意見交換が行われました。あわせて、当会の先輩研究会である北方圏住宅研究会の25周年記念の会にも出席してきました。 11月下旬には信大建築の助教授で設計家であります坂牛氏による「施主、設計家、施工会社のコラボレーションについて」の講演があり、活発な意見交換がありました。 今年は2月23日に信大建築助教授の五十田氏による木造住宅の耐震評価方法などをテーマに講演会、4月18日にも同じく信大助教授高木氏の講演会(交渉中)が決まっております。 そして、6月13日は第19期総会、そこでの20期についての議案があります。

  山下研究室との共同研究としては、第一は当会員の信越BIBとの一昨年からの共同研究です。 コンセプトは、実用性より徹底して高断熱高気密化を優先した実験住宅を信大キャンパスに建設して、人体発熱、照明、TV、冷蔵庫の廃熱などにより無暖房にすることを目指しました。 その結果、昨年の1月初旬の寒波にもかかわらず無暖房であったこと、かつ夏季の冷房負荷が小さいことを証明しました。 これは一昨年の第17期の特別研究テーマで取り上げた「ゼロ・エネルギー住宅のワークショップ」において無暖房住宅にするためのシミュレーションの成果でもあります。 全国で初の公表された結果でしょう。 まさに“コロンブスのたまご”と言ってよいでしょう。 9月には日本建築学会大会で発表して注目されました。第二は、当会員の北信商建との共同研究で6月から長野市内に完成した無暖房に挑戦するモデルハウスで、今も計測中です。 夏季の結果は実験住宅の結果と同じく冷房負荷が小さいことが実現し、昨年末まで無暖房を保っていること、現在も計測中であります。 第三は、同じく当会員の泰成電機工業との共同研究で駒ヶ根市にある外断熱RC集合住宅です。無断熱RC集合住宅との比較も含めて各種実験要素を含む大掛かりな計測研究でして、これから解析をして結果を出すところです。 第四は当会員の井坪建設による駒ヶ根市にある無暖房に挑戦する戸建住宅です。 昨年10月に購入家族が入居している状態で計測を開始しております。ほかに会員以外の共同研究として、茅野市にある外断熱RCの2階建て介護施設と、軽井沢町にある無暖房を目指すモデルハウスについて計測が続いております。 介護施設である外断熱RC建物は、木造に比べて冷房負荷がさらに小さいこと、そして昨年末まで無暖房を保っていること、現在も計測中であります。それぞれの建物について、今年の9月の建築学会大会で成果を報告するべく計測解析中です。 なお、以上の共同研究のうち実験住宅、長野市内のモデルハウス、軽井沢町のモデルハウについては夏季の結果の速報としてまとめる作業を行いました。これは無用な混乱を起こさないために共同研究者双方による正式な文書を作成して、信大から8月末Press Releaseを行っております。 その結果、数誌の新聞で取り上げられました。

  ほかに当会員である樹脂サイディング促進普及委員会がスポンサーになって“長野県で挑戦している無暖房住宅の解析速報と展望”と“わかりすい全国の気象の比較”をメインテーマにして、樹脂サイディングの特徴、施工法、見学会などでセミナーを開きました。 セミナーは、7月下旬に諏訪市、10月下旬に富山市、11月中旬に長野市で何れも建築士会のCPD(Continuing Professional Development、継続能力開発or自己研鑽などの訳)に採用され、40名以上の方が受講されました。 勿論一般の方、当会員も参加しました。 従いまして、これもSAH会の活動の一環となるものです。次に年末に新たな観点に基づき、会報誌“TheSAH”を発刊して、その第1号を皆様に郵送いたしました。 引き続き今期は第4号までの発刊を予定しております。 また、Living信州の12月号では、“無暖房住宅に挑戦する山下研究室”として、取り上げられました。以上が昨年の概略です。さて、今年ですが、さらに無暖房住宅に関心が高まるかと思います。 SAH会として、ある程度共通の概念を持つのが望ましいと考えております。ただし、私は会全員がこの流れに乗ろうと言ってはいません。SAH会は各会員の独自性をこれまでも尊重してきました。 この方針には変わりはありません。しかし無暖房住宅の流れは、信州発として広がることが予想されます。したがって、建築学会などで討論をして、無暖房住宅の定義、性能などをはっきりさせることができればと考えております。

  以上、昨年の活動の総括をして今年の活動の方針、決意を述べました。皆さん、私としては精一杯SAH会活動に力を入れるつもりであります。 どうか積極的に参加され、意見を交わすことを望んでやみません。皆様の一層のご活躍を祈念して年頭の挨拶とさせていただきます。

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