「信州の快適な住まいを考える会(SAH会)」会長
信州大学工学部・建築学科・教授 高木直樹

SAH会は今年で25周年を迎えます。
25年前の長野県のほとんどの住宅は、外見こそ豊かで立派であっても「住まいの暖かさ」という視点からは不十分で、お茶の間のこたつを中心にして石油ストーブを主要室で焚いて暖を取るスタイルがほとんどでした。
家族がこたつに集まり団らんをするというメリットはありましたが、夜ストーブを切れば、室温は外気温と同じくらいにまで下がり、「枕元のコップの水が凍る」「水道管が屋内で凍結する」といったことすら起きていました。
これほどではないとしても早朝の室温は5℃程度まで下がり、布団から出ることがつらかったり、高齢者や心臓や血管に病気を抱えている人にとっては、ヒートショックという大きなリスクを抱えて生活をする必要がありました。
こうした状況を改善するためには住宅そのものの性能を向上させて、信州の風土にあった暖かい住宅を開発・普及していくことが重要だと考え、信州大学名誉教授山下恭弘先生を中心として意欲ある設計者、工務店、建築材料メーカー等が集まって「信州の快適な住まいを考える会(SAH会)」を発足させました。
以来25年に渡り、信州の地でより良い住宅の開発・普及活動を行って来ました。
折しもエネルギー価格の高騰、地球温暖化問題から来る省エネルギーへの要求など時代の流れは、私たち「信州の快適な住まいを考える会(SAH会)」が主張してきた信州の風土にあった省エネルギーで快適な住宅を求めてきています。
昨今では新聞やテレビの住宅に関するコマーシャルのほとんどが省エネルギーな「エコ住宅」を売り物にしています。
しかし残念ながらこうした「エコ住宅」の多くは住宅性能そのものがエコではなく、エネルギー浪費型住宅に太陽光発電や最新の給湯/暖房機器を付けただけであったりしています。
私たちが主張する「住宅そのものの性能向上」+「太陽光発電などや最新鋭設備機器」の考え方とは大きな違いがあると言わざるを得ません。
今後も時代の流れを受けながら長野県内で地元の設計者、工務店、建築材料メーカーなどと共に、より良い住まいを開発・普及させるために活動を続けていきます。



高木直樹(たかぎなおき) プロフィール

昭和28年(1953年)9月 東京生まれ
東京工業大学建築学科卒業(1976年)
同大学院社会開発工学専攻博士課程修了(1982年)工博
信州大学工学部建築工学科に助手として採用(1984年)
その後同助教授・准教授を経て現在信州大学・教授・工学部建築学科
2003年から2004年 米国コロラド州コロラド大学に
在外研究員として赴任。

研究テーマ

寒冷地の建築物における温熱環境調査などを行うと共に、長野県内の都市を主な対象都市として、ヒートアイランド、騒音、気象、植生量などの都市環境の調査を地上実測調査とリモートセンシングによる宇宙からの調査、コンピューターによるシミュレーションで解析している。
また地球温暖化対策について、温室効果ガス排出量に関する調査を行い
削減策の提案を行っている。

その他

  • 日本ヒートアイランド学会理事、日本建築学会・地球環境委員会・気候変動対策小委員会主査
  • 地球温暖化対策「長野モデル」第1次提言書作成に協力。
    その後、長野県地球温暖化防止県民計画専門委員会委員長、長野県地球温暖化対策検討委員会委員長として、地球温暖化防止県民計画、長野県温暖化対策条例策定に関与。
  • 地方都市の現状や地球環境問題を視野に入れた対策を、地方都市の行政・市民生活にフィードバックするために、ながの環境パートナーシップ会議を立ち上げた。
    他にNPO法人「みどりの市民」、環境市民団体「コペルニクス」に関わり、発言をしている。
  • コロラド大学赴任中に長野市民新聞に「アメリカ環境事情」と題したコラムを連載。
  • 長野市都市計画審議会会長、長野県開発審査会会長
    長野市新エネビジョン策定委員会委員長(当時)
  • 平成22年度から小布施町地域環境研究室を立ち上げ
    小布施町の環境問題に関する調査・研究を開始。